今回は、うちの子の治療について書いていきます。
いくつかの記事で触れましたが、我が子は口唇口蓋裂です。
妊活をする中で、手術と流産を乗り越え、やっとできた我が子が口唇口蓋裂だという事実に、ショックが全くなかったわけではありませんが、どういうものか知っていたので、そこまで動揺はしませんでした。
しかし、色々な口唇口蓋裂の子を持つ親御さんのブログを見たとき、エコーで口唇裂と言われ、堕胎を考えたという記事を見て、この病気を知らない人には、それだけ大きなことなのだと思いました。
なので、このブログを通じて、少しでも口唇口蓋裂に対する認知が進んで、出産を控えている妊婦さんはもちろん、現在治療を頑張っている子の親御さんたちの、不安や恐怖、孤独感が少しでも和らげばいいなと思います。
口唇口蓋裂とは
まずは、口唇口蓋裂ってどんな病気なの?ってところから書いていきたいと思います。
症状は様々ですが、ざっくり言うと唇と口蓋(上顎)が裂けている先天性異常です。
(詳しくはこちらを参照してください。→日本口腔外科学会)
一見すると口蓋裂じゃなく見えても、上顎に小さな穴が開いていたり、粘膜の下で断裂が起きていることもあります。
口の病気なので、咀嚼や言語に障害が起きることが多く、早期発見、早期治療で問題なく生活できるようになります。
出生前のエコーで判明することが増えていますが、わかるのは口唇裂(唇が裂けている事)のみで、口蓋は出生後に確認することでしか判断できません。
割合は500人に1人と言われているので、マンモス校なら一学年に一人、普通の小中学校でも、学校全体なら1,2人はいる割合です。
それなのに、この病気自体を知っている人が少ない、この病気の人に会ったことないという人が多いのは、以下の要因があると考えます。
- 幼少期(就学前)の治療によって、外見では分からない
- わざわざ自己申告する人がいない
- そもそも本人は幼いころにほぼ完治しているため、記憶にない等で実体験として情報発信しない
現在ではSNSが発達しているため、親御さんの情報発信も増えていますが、それでも調べようと思わない限り情報としては入ってこないため、エコーの結果でいきなりこの病気の存在を知ったら、驚いて不安になるのも当然だと思います。
個人的には、妊娠初期に、エコーによってわかる病気には、こういうことがあるよという説明を産院の方で設けるか、エコー検査についての冊子を作って配ってもらいたいです。
そうすれば、エコーで分かる他の病気に対する認知度も上がると思いますし、赤ちゃんの大きさや心拍を見るだけの物じゃなくて、もっと重要な意味がある検査なんだと分かってもらえる気がします。
もちろん、口唇裂がなく口蓋裂のみの場合、出生後にしかわかりません。
なので、声を大にして言いたい!
口唇口蓋裂は治るよ!
ただし、口唇口蓋裂には20%程の確率で、他の病気を伴っている場合があります。
心臓、手足、頭蓋などの形成不全が見られるようです。
うちの子も、妊娠中はエコーで、毎回入念に心臓の状態と頭部を確認されていました。
他にも、染色体の欠損などによる病気の、身体的異常として出る場合もあるようです。
エコーで口唇裂が発見される週数になった時には、出生前診断の結果をもらっていたので、そこに関しては大丈夫だと思っていました。(出生前診断については、そちらの記事を参照)
という事で、うちの子の場合を書いていきたいと思います。
病院が決まるまで
産む前から、口唇裂というのは判っていましたが、口蓋の方は産まれるまでわかりません。
かかる病院や、治療方針を事前に決められたらよかったのですが、子どもの状態が確定するまではそういうわけにもいかず、ネットの記事などを見て調べることしかできませんでした。
そして迎えた出産当日。
産声が聞こえて、胸の上に置いてもらって最初に確認したのは、口蓋でした。
ふにゃふにゃしてる。あったかいな。少し重いかも。お~やっぱり口蓋いってるな。
これが出産直後の私の感想でした。
その後、入院中に小児科の先生からお話があり、『左の口唇及び口蓋が裂けている』と診断を受け、紹介状を書くから病院を選ぶように言われました。
え?!ここでいきなり、病院のレビューとか何もなしに決めるの?!と、かなり戸惑いましたが、最寄り駅を聞いて通いやすいほうにしました。
慣れない赤ちゃんのお世話に四苦八苦しているうちに、産院が紹介状を送ってくれ、後日紹介先の病院から連絡があるとのことでした。
旦那にはその日のうちに、この病院紹介してくれるって、とメールしたところ調べてくれて、評判の良い所だったようで、一安心しました。
そうして決まった病院から連絡があったのは、産院からの退院当日の夕方でした。
初診の日程は、病院側が指示するとのことでしたが、まさかの翌日!
初診の日は、二人で診療方針などの説明を受けたいからと、旦那も同行する予定だったので、せめて明後日にならないかと聞いたところ、専門の先生がその曜日しか来ず、次回は1週間後と言われてしまいました。
産院も大きい病院だったため、曜日ごとに先生が違うのはよくあることですが、まさか翌日なんてと思いつつも、早めに治療を始めたかったので、結局その日程で予約を取りました。
幸い、旦那も繁忙期ではなく、職場が理解を示してくれたため、有休をとって同行してくれました。
通院一回目
通院初日は、小雨が降る中の電車とバスの乗り継ぎという事もあって、不慣れなベビーカーではなくおくるみで行くことにしました。
本当は抱っこ紐で行きたかったのですが、産後6日目の我が子は抱っこ紐の規定に合わず、前日の退院日に装着を断念していたので、おくるみとなりました。
到着後、まず最初にするのは初診の手続きです。
当然のように保険証も医療証もないため、今月中に全て揃うなら、支払いの手続きを後日にできると言われましたが、いつ来るか分からない保険証をあてにはできず、自費診療でお願いしました。
そして、案内されたのは形成外科。
そのエリアには、未就学児から高校生ぐらいまでのお子さんを連れた保護者で、座れないほど混んでいました。
遠方の病院という事もあり、病院に到着した時にはもうミルクの時間で、大きい病院の待ち時間の長さは産院で身を持って知っていたため、受付の方にミルクをあげてもいいかを確認したところ、先生のご配慮で順番を速めていただきました。
口唇口蓋裂を診られる数少ない病院という事もあり、赤ちゃんも多いし、待合室にいた子ども達も赤ちゃんの頃から通っているから、赤ちゃんの順番が前倒しになるのはよくあることだそうです。
それもそのはず、ミルクを飲んだら1時間は診察できません。
特に初診は、口腔内の型を取るため、ミルクを吐き戻すと窒息の危険があるからです。
そんなわけで、ありがたくも前倒ししていただいた順番で形成外科の先生に診てもらい、治療の経過を見るために写真を撮ります。
そして、次は口蓋裂の穴を少しでも狭めるためのプレートを作ってくれる歯科の先生に引き継がれ、型を取るべく子どもは台の上へ。
親が待合室で待つ中、診察室から聞こえてくる我が子のギャン泣き。
事前に泣かせます。との説明がありました。
何でも、泣いている=息しているし生きているとのことで、安心できるそうです。
この型取り、窒息で亡くなってしまう子もいるらしく、きちんとした技術が無いと危険なのだそうです。
無事戻ってきて、息子待望のミルクタイムです。
ミルクを飲んで、おむつを替えて、少しご機嫌になった子どもを連れて、次に向かうは再び形成外科です。
そこでは先程の先生から、息子の口腔内が現在どういう状況なのか、これからの治療方針や、口蓋裂であることによって今後起きうる障害(発語や中耳炎など)、暫定的な手術日程と次回の診察予約を入れて終了でした。
病状説明の時は、これまで治療してきた子の写真を交えて、術前術後を詳しくお話ししていただけて、安心できました。
まぁ、夜間授乳の眠気がピークだったので、睡魔と戦うのに懸命で話半分だったのですが、大体わかったよ!
何でも、手術までは先程型を取っていただいた歯科の先生にお世話になることが多いそうで、その先生の病院の方が家から近かったので、歯科医院に最低2週間に1回、形成外科の先生のいる大きい病院に月1回行くスケジュールになりました。
治療過程
ここで、息子が受ける治療について、説明します。
ただ、口唇口蓋裂の治療については、病院それぞれで培ってきたものがあるので、方針は様々ですので、うちの子が受けた治療が全ての病院共通というわけではないのであしからず。
退院と同時に通院を始めたため、治療もまだ2か月しか経過していないのですが、とりあえず説明された工程を書いていきます。
写真を撮影し、口腔内の型を取る。
手術に向け、裂け目を少しでも狭くするために、矯正プレートを作る。
プレートに慣れてきたら(うちは1週間後でした)、プレート+鼻の下にテープを張る。
3までの過程でもかなり狭くなるが、プレートにフックが付くようになり、もっとぐいぐい狭くしてく。
手術できるなというぐらい矯正されたら、手術へ。
もちろん、本人のコンディション(体重や体調など)によっては、延期されることもあり。
術後の経過が良好であれば退院し、言語のトレーナーさんについて、リハビリをしていく。
言語など、状態にさほど問題が無ければ、通院は年に1回程度へ。
本人が希望すれば、美容的な観点から、追加手術をする場合もある。
(就職や進学に合わせて受ける子が多いそうです。)
以上の工程は、めりーが勝手に区切っただけで、人によっては術前→手術→術後の3段階と感じる人もいると思います。
で、こう書くと、7段階まであるのか~となりますが、うちの息子はもう3段階目で、そろそろ4段階目に移行します。
新生児で変化が激しいせいか、プレートを入れてから、ぱっくり開いていた口元が見る間に狭くなり、テープをつけ始めてからは、もうほぼ唇だけならくっつきそうなぐらいです。
息子の通院している病院は、手術はなるべく一度で済ませる方針ですが、口腔内の状況によっては、本人に負担がかからないのが一番なので、手術回数を増やす可能性もありますとのことでした。
通院回数は、2か月間で6回(形成外科2回歯科4回)で、歯科の方が多いのは、矯正の効果でプレートが合わなくなるので、調整をしに行っています。
親にもできることがある
え~お医者さんに任せっきりでいたいよ~と思われるかもですが、頑張りましょう。
特に、お母さんの方は、産後の授乳で大変な思いをしている分、もう頑張りたくないと思ってしまうかもしれません。
状態にもよりますが、直接授乳はできないし、飲むのにも恐ろしく時間がかかるから、飲み終わったと思ったらもう次の授乳だし、ちょっとこちらが焦るとすぐ咽て泣いちゃうし、吐き戻したときに鼻に詰まって窒息しそうで怖いし、なのに手術に向けて体重増やさないとだし…。
考えだしたらきりがなくて、確かに嫌になってしまうかもしれません。
でも、子どもの状態が見る間に良くなっていくのを見ると、やって良かったなと本当に思えるので、頑張りましょう!
で、私たち親は何をするかというと、矯正プレートの装着です。
このプレート、一日一回(大体お風呂の前)外してきれいに洗って、再び装着しなくてはならないのですが、子どもも親も慣れが必要です。
子どもは口に異物が入ってきて少なからず不快ですし、親も丸一日外れないように、しっかり付けられるようになるまで、少しコツが必要です。
ただ、このプレートが入ることによって、格段にミルクの飲みはよくなるので、直接授乳は相変わらずできませんが、授乳時間はぐっと短くなりました。
次のステップのテープも、子どもは頬っぺた寄せられて、挙句テープで止められて不快だし、親はギャン泣きする我が子を抑え込んで、しっかりテープを貼らなくてはなりません。
慣れてくると、子どもに「あ~」と言って下唇を抑えると、「あ~」と口を開けてくれるようになりますし、テープを貼る時も機嫌がよければ無抵抗で受け入れてくれます。(我が家は大体ミルク前なので、ギャン泣きされますが)
ただ、このテープ、肌荒れするのです。
粘着性はそこまで強くないのかもしれませんが、赤ちゃんの肌に、毎日貼って剥がしてをしているので、一日一回とはいえ負担は大きいです。
最初、お医者さんに勧められたのはベビーオイルだったのですが、我が家はベビーローションを使っていたので、それを使ってみたところ、ミルクライプだったせいかあまり取れがよくなく、のりがべっとり残ってしまうことが多かったのです。
そこで、同じ油ならいっかと、私が使っている馬油を使ってみたところ、ローションよりはかなりきれいに落ちて、肌の調子も良さそうだったので、以降それを愛用しています。(同じテープを使っている方がいるかはわかりませんが、興味のある方はどうぞ。)
使っているテープは↓
使っている馬油は↓顔面の肌トラブルに悩んでいましたが、これで解決しました。
馬油は少しお高いのですが、肌トラブルで試行錯誤した費用と病院代に比べたら、安いもんです。
この馬油を、お風呂(剥がす前)の20分前に1回と10分前に1回塗っています。
二回目の塗りの時には、端っこの方はするすると剥がれるようになっているので、2回目を塗りながら完全に剝がしてしまうことも多いです。
ポイントは、テープが透けるぐらいたっぷりと!
テープからはみ出るぐらい塗ると、塗り残しが無くて安心です!
剥がした後ののりにも、くるくる~っと馴染ませると、結構取れます。
かなりべたつきますが、この後お風呂で落とすので問題なしです。
まとめ
口唇口蓋裂の治療について不安に思わなくていいよ!って回でした。
- 結構多い先天性異常だから、治療法も確立されているし、専門病院もある。
- 口唇口蓋裂はそうと分からないレベルまで治る。
- 合併症がある病気なので、そこは油断できない。
- 病院によって、治療方針は様々。手術を2,3回に分けて行うところも多い。
- 保護者の集まりなどもあるから、孤独感にさいなまれたら頼るべし!
そばにいることしかしてあげられないという病気も多い中、治療法にもよるけど、保護者も参加できるし、成果も目に見えるので、治ってきているなという充実感が得やすいかもしれません。
口唇口蓋裂のお子さんや知り合いが近くにいる人には、少しでも助けになれば嬉しいですし、いない人には、へ~って感じで知る機会になれば嬉しいです。
病気があってもなくても、子育ては大変だと思うので、頑張っていきましょう!